外来種問題  香川県でのソウシチョウ繁殖  

ソウシチョウは、四国でも分布を拡大しつつあります。
ソウシチョウ
(綾川町羽床下 大高見峰山 2008年3月29日 PHOTO◎城戸崇雄)

 香川県では、2204年、ニューレオマワールドのバードパークが台風16号により損傷し、飼育していた鳥約300羽が逃げ出したことが明らかとなりました(9月10日付け四国新聞)。
 このとき、ソウシチョウが約100羽が逃げ出し、野外での繁殖が懸念されていましたが、ついに野外で確認されました。
 一度逃げ出したソウシチョウを全て駆除するのは困難ですので、今後はソウシチョウの分布の変化を注意し、生態系への影響を調べなければなりません。
 もし皆さんのお近くでソウシチヨウを見た場合は、ぜひご連絡下さい。

〔経緯〕
●2004年9月2日
 台風16号により、ニューレオマワールド内のバードパークが破損。鳥類約300羽を逃がす。
●2004年9月13日
香川県より逸出鳥類のリスト届く。大量のソウシチョウが含まれていることが判明。
・ハゲコウ     1羽
・ジサイチョウ   1羽
・レンジャクバト  約40~50羽
・クジャクバト   約40~50羽
・ウシツツキ    約100羽
・ソウシチョウ   約150羽
※なおレンジャクバト・クジャクバト各10羽程度、ソウシチョウ40~50羽は戻ってきているらしい(2004.9.13)。
(以降、香川の野鳥を守る会では、他の保護団体・近県の野鳥観察者等に状況を周知し、今後の注意を依頼している。)
●2007年4月22日
  ニューレオマワールド近くの山地で、複数のソウシチョウを初確認。繁殖し、分布を拡大していることが確実なった。


●ソウシチョウとは
 ソウシチョウは中国西南部からベトナムが原産地の、スズメほどの小鳥です。飼い鳥として輸入されたもののうち、一部が逃げ出して(または野外に捨てられて)日本で繁殖しています。
 現在は九州の1,000m超の山系のほとんど、本州では筑波山系・六甲山系・丹沢山系・秩父山系などで繁殖しており、「営巣環境が類似しているウグイスとの競合が懸念される」と指摘されています(「外来種ハンドブック」,日本生態学会,2002)。
 四国では、2000年前後から高知県・徳島県県境の三嶺山麓(高知県側の旧物部村)で確認され、数年間で高密度の個体群が形成されているようです。このほか徳島県は2005年から剣山系の山地で、愛媛県では昨年に石鎚山、今年8月には東赤石山で観察されているようです(佐藤重穂氏,私信)。
 四国で今後問題となる可能性が極めて高い外来種と言えるでしょう。
 
●香川におけるソウシチョウの大量逸出事件
 2004年9月、ニューレオマワールドのバードパークが台風16号により損傷し、飼育していた鳥類約300羽が逃げ出す事件がありました(2004.9.10.四国新聞)。当時本会が県に確認した結果、その中には多数のソウシチョウが含まれていることが判明しました。
 本会は当時、会誌上で次のように指摘しました。

「そもそも、飼育動物が逃げないように管理するのは、飼育者の最も基本的な責任であろう。台風だからといって許される問題ではない(自宅の庭で飼っていたカミツキガメが台風で逃げ出し、用水路で子どもの指を噛み切ったら大問題になるだろう)。特にこのバードパークを運営している日振動物は鳥獣商(売る側)であり、飼育者としては模範を示すべき立場にある。」
「他県の状況を考えれば、四国でソウシチョウを100羽以上も飼育することには、より慎重になるはずであるし、そうでなければならない。」
 ただそうは言っても、逃げ出した個体を捕獲・駆除することは困難です。そのため本会は、逃げ出した個体が繁殖しないように祈るしかありませんでした。
 しかし今回、その望みが絶たれてしまったのです。
 発見場所は、逃げ出した施設から東北東約2kmの地点。その距離を考えれば、2004年に逃げ出した個体か、その子孫の可能性は極めて高いと言えます。

●香川県での初確認記録
 観察場所:綾川町羽床上 大高見峰登山口
 観察年月日:2007.4.22.
 観察者:城戸崇雄
 コメント:「同時に見たのは最高2羽。メジロと一緒に行動している30分ほどの滞在で、6回確認。」

●たかがソウシチョウ?
 ソウシチョウが、直接ウグイスを減らす可能性は少ないようです。しかしソウシチョウが増加すれば、ソウシチョウを狙う天敵(イタチ等)が増え、それがウグイスまで襲うようになる可能性も指摘されています。
 また、日本の春の山といえば、ウグイスがさえずるものです。ところが今後、それに負けじとソウシチョウがさえずるようになります。外来種が定着すれば、私たちは前世代から引き継いだ「香川の自然」を、次世代へ伝えられなくなるのです。
 子どもたちは、本当ならソウシチョウなどいない、本当の日本の自然の中で育つことができたはずです。しかし私たちの世代の過ちのために、子どもたちは「外来種のいる自然」を受け入れるか、多大な費用と労力を使って全てのソウシチョウを駆除するかを選択しなければなりません。
 時間が経つほどソウシチョウは増え、駆除は困難になります。いわば、私たちの世代は、子どもたちに借金を残したようなものです。

●今後の対応
 これから本会は、今回確認された地域を定期的にモニタリング調査し、個体数の推移や生息状況を把握していきます。また近隣の山系にソウシチョウが拡がってないかも、随時調査したいと考えています。調査結果は、他県や外来種の研究者へ情報提供します。
 残念ながら、本会がソウシチョウを直接駆除することはできません。しかしソウシチョウの生息状況を把握し、「香川県の過ち」を確実に記録して、同じ事態を繰り返さないための反省材料にしたいと思います。
 もし皆さんのお近くの山でソウシチョウを観察したら、ぜひ本会へお知らせください。
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